日本のどこからもいちばん遠い小笠原諸島

 

6月30日、小笠原諸島(東京都小笠原村)の父島で、米国からの返還50年を祝う式典が開かれました。

父島やダイビングスポットなどで有名な小笠原諸島は、東京都の南の太平洋上にある30余の島々です。

小笠原諸島には民間空港はなく、約1000キロ離れた本土との移動手段は片道24時間かかる定期船に限られます。

簡単に言うと、日本のどこに住んでいようとも、移動時間に限定すれば、小笠原諸島は北海道や沖縄よりもずっと遠いのです。

 

その沖縄ですが、いちばん遠い北海道からどのくらいかかるか知っていますか?

ネット検索した時点では、直行便は新千歳空港那覇空港へ1日1便しか出ていません。だからほとんど乗り換えや乗り継ぎを経由して移動することになります。

乗り換えの時間にもよりますが、北海道から沖縄へは、4時間50分〜7時間ほどかかるそうです。飛行機で7時間もかければ、そこそこ遠い外国へだって行けてしまえますよね。

飛行場がない小笠原へは船で片道24時間です。

小笠原諸島が北海道から沖縄よりも「時間的に遠い」それが理由です。

 

沖縄もそうですが、小笠原諸島もダイビングスポットとして有名ですよね。

東京から小笠原直行便の飛行機があれば、小笠原諸島はぐっと近くなります。飛行場を建設して直行便を…という話は以前からあったようです。

ところで、小笠原諸島世界遺産に登録されていることは知っていますよね?

Wikiにはこうあります。

小笠原諸島を構成する島々はこれまで一度も大陸や大きな島と陸続きになったことがない海洋島で、亜熱帯の気候の中で独自の生態系が育まれてきた。

現在、小笠原諸島内の多くの地域は小笠原国立公園に指定され、またこれまで人間から受けた影響が極めて少ないため、原生の自然が保たれている南硫黄島に関しては南硫黄島原生自然環境保全地域に指定されている。

その独自の生態系が高く評価された結果、小笠原諸島は2011年に世界遺産の自然遺産に登録された【Wikipediaより】

 

ここで冒頭の式典に話を戻すと、小笠原諸島は東京都なので、式典で小池百合子都知事が同諸島の航空路整備について、空港を整備する案に絞って検討を進める考えを明らかにしたそうです。

それにしても、小笠原諸島には、どうしてこれまで飛行場がなかったのでしょうか?

交通機関の整備に関しては、日本は世界でもトップクラスです。

高速道路は言うに及ばず、鉄道があっても不便だったり、交通網が整備されていない場所には飛行場があって、大抵の場所へは飛行機か新幹線を使えば簡単に行くことができます。離島へも定期船で移動できます。

がしかし小笠原諸島のような離島となると、行くには行けても、そこでの居住経験がないと想像もできないような常識に直面させられたり、些細なことでピンチに陥ることがあります。

たとえば、船で片道24時間かかる小笠原諸島では、新聞やジャンプは発売日の翌日や1日遅れになるの?とか、コンビニやスーパーの品揃えが心配だとか、きっと数少ないだろうケータイショップやガソリンスタンドなんかを見つけるのに苦労しそうだとか?

手に入りにくいものは高く売られるから物価が違っていそうだとか、ようやく見つけたATMは現金が補充されずに使用中止のままだったりするんじゃないかとか…都市居住者にとってはありえない常識に直面させられることになるかもしれません。

だからさっさと飛行場をつくって飛行機を飛ばせばいいのに…ということになるわけですが、便利さを手に入れるためには、その代償を支払う覚悟が求められます。

世界遺産に登録されて観光客が訪れたせいで、貴重な自然遺産が損なわれたり、非常識な観光客に住民が迷惑したりの話は尽きません。

少し前なら富士山のゴミ問題が、最近だと外国人旅行者が増えた京都のニュースをご存知の方も多いでしょう。

便利なほうがいい、観光客が訪れることで利益が上がるという件は一旦置いても、1000キロも離れた東京に住んでいる小池都知事が、小笠原諸島に暮らす人々の本心をどの程度まで把握しているのか、やはり気になるところです。

ましてやあの小池都知事ですからね。

二転三転するばかりで一向に進まなかった築地移転やオリンピックの試合会場の候補地問題で、このひとは何がしたいのかと首をひねったひとも少なくないのでは?

今度は「東京オリンピックと一緒に世界遺産の小笠原観光とダイビングはいかが?」とか言いだすかもしれません。

そうしたPRに飛びつく外国人旅行者は少なくないでしょうけど、鳴り物入りで派手派手しく手をつけては言うこともやることも二転三転の前例がある都知事です。小笠原諸島の飛行場建設だって、同じ不安が拭えません。

 

私などはついそんなふうな目線でこのニュースをながめてしまいます。

私もいわゆる「本土」の人間ですが、沖縄の米軍基地移転でサンゴ礁が破壊されていると聞けば、この小笠原諸島の飛行場建設だって、似たようなことが起きるのではないかと思わざるを得ません。

便利さを優先するのであれば、とっくの昔に飛行場は出来ていたのではないかと思うのです。

だからこそ、何の利害もないけれど、せめて小笠原諸島に暮らす人々の本音ぐらいは知りたいと思うのです。